雪道に強い軽商用バンはある?軽自動車のバンはなぜ雪道に弱いか?

雪道の走破性に優れる軽自動車のバンはどの車種がおすすめなのか?

まず軽自動車のバンは、スズキ、ダイハツ、ホンダの3メーカーしか製造していません。OEMで日産やマツダなども販売したりしていますが、車体そのものを製造してるメーカーは限られます。

そこで、この3メーカーの製造する軽バンを比較して、最も雪道走行に優れている車種を検証してみました。

そもそも軽バンは構造上雪道に弱い特徴がある

まずは前提として、軽バンは雪道や凍結路に弱く、走行安定性に欠ける特徴を持っています。※あくまでもスタッドレスやチェーン非装着状態でのお話し。

現行販売されてる軽バンは、全てFR(後輪駆動)4WDです。

まずは構造ベースであるFRについて解説していくと、後輪が駆動するためにスリップした時に車が不安定になりやすいです。後輪がスリップしてしまうと、エンジンの重みにより支えられた前輪を軸として左右に回転してしまいます。プロのドライバーならまだしも、素人では車体を立て直すのが難しく、一回転してしまうというのも珍しい話ではありません。

軽商用バンはなぜFR(後輪駆動)ばかりなの??

なぜ軽バンにFR方式が採用されているかというと、そもそもバンは荷物を積むことを前提に設計されている点にあります。

荷物を満載していると、後軸に重みがかかって前輪部分は浮いた状態になります。大げさに言えばシーソーのような状態ですね。前輪が駆動する方式ですと、タイヤにしっかり力がかからなくなるため逆に走行安定性が悪くなります。

あくまで雪がない道路においての話ですが、荷物を積載してる状態では、FR(後輪駆動)の方が安定性が高まるということです。皮肉にもこの駆動方式のために、雪道ではてきめんに弱さを露呈してしまうのが軽バンの特徴なのです。

荷物を積んでいないときはさらに危険

先ほど話したように、そもそも軽バンは荷物を積むことを前提に作られています。荷物がない軽い状態では、駆動する後輪部分に重さがかかりません。しっかり重さがかかれば、まだ雪道に食い込んで支えてくれるのですが、軽いと面白いように滑ります。

4WDならば安全か?というとそうでもないのが軽バンの悩ましいところ。結局荷物が軽い状態では安定性にかけます。常時大量の荷物を積んでいるわけではないですし、そもそも軽バンに重量物はあまり積まないですよね。構造的にも、使用用途を考えても軽バンは雪道・凍結路に不利な要素がてんこ盛りなのです。

雪道に強い軽自動車バンに求められる要素

非常に細かな比較になりますが、走行安定性を高めるという要素で検証すべきトピックを私なりに考えてみました。

一つは、前後のホイールベース。前輪と後輪がどれだけ離れているか?という数値で、この数値が大きいほど車体の4隅に満遍なく重量がかかって、安定性が高まります。荷室の積載性も高くなる要素になりますね。

ホイールベース

もう一つが、タイヤのトレッド。トレッドとは、タイヤの左右の長さを差します。このトレッド幅が大きいほど、がっちりと踏ん張って走行安定性にも影響してくる部分です。

トレッド

まずは現行販売されているメーカーの3モデルの諸元表を比較してみましょう。※2016年8月調べ

スズキエブリィ ホンダアクティバン ダイハツハイジェットカーゴ
ホイールベース 2430mm 2420mm 2450mm
トレッド前輪 1310mm 1295mm 1305
トレッド後輪 1290mm 1310mm 1300

単純にこの数値で比較すると、各社非常に近い数値・・・。トレッドに違いがあるのは、安定性の考え方の違いで、スズキとダイハツは前輪トレッド幅が広いため直進安定重視。

ホンダは後輪が広いため、カーブなどでも踏ん張る力が強いことが分かります。(スポーツカーの後輪がやたらでかいのと同じ考え)。

さすがに、お互いしのぎを削るメーカ同士ってことで、数値には大きな差がありませんでした・・・。これでは他の要素も見ていかないと、雪道ナンバーワン軽自動車バンを決定できない。

安全装備の違いで一推しが決定するか!?

ここで改めて各社のデータを見ていくと、雪道の安全性を確保する安全装備の設定には大きな違いが見られます。

スズキのエブリィには、商用の軽自動車初というESP(横滑り防止装置)の装備の設定があります。ESPはスリップしたタイヤを感知すると、車体の安定性を保つために4輪のブレーキを独立に効かせながら姿勢を保つという安全装備です。

もちろん全グレードに設定されてるわけではないですが、現状ホンダやダイハツには採用されていませんので、装備の有無によっては雪道での安全性に大きな差をつけていることになりますね。

ということで、軽自動車の商用バンで、雪道・凍結路に強くて安全性が高いのは、スズキのエブリィ(条件付き)ということになります。

万全を期すなら4WDモデル+スタッドレスは必須

軽自動車メンテ

今回はあくまでの車体の性能を見ながら、雪道走行に有利な軽バンを検証してきました。

ただし冒頭でもお話ししたように、そもそもの駆動方式や設計上、雪道や悪路での走行性はあまりよくないのは共通しています。

豪雪地帯での走行が予測される場合や、厳寒期の急な積雪にも備えたいのであれば、4WDモデルを検討するかスタッドレスタイヤなどの雪道装備は万全にしておいてください。

荷物を載せていないときは、路面次第でスタッドレスでも滑るときは滑るので、安いのでもいいので金属チェーンを載せておけば万全です。

仕事にレジャーにと用途を問わず活躍してくれる軽自動車バンですから、特性を理解して安全かつ快適な走行を楽しんでください。

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